メラルソプロール Melarsoprol(商品名 Arsobal)? ?^??????


 1940年にメラミン核を有する有機砒素化合物が抗トリパノソーマ作用を有することが示され、それより安全性の高い3価の有機砒素化合物として1949年に本剤が導入された。これは当初Mel Bと呼ばれたが、現在はメラロソプロールと称されている。本剤の作用機序は不明であるが、3価の砒素がトリパノソーマの特異酵素であるピルビン酸キナーゼの活性基に結合してエネルギー産生を阻害すると考えられている。脳脊髄液に移行するので、アフリカトリパノソーマ症(睡眠病)、特にローデシア型の髄膜脳炎期における選択薬になっている。しかし近年、本剤に対する耐性原虫の出現が問題となっている。

[適応]
 ガンビア型およびローデシア型アフリカトリパノソーマ症の病後期に適応となるが、ローデシア型の場合には唯一の薬剤である。

[成人での用法・用量]以下のいずれかの方法による。

1)

1日目1.2 mg/kg、2日目2.4 mg/kg、3および4日目3.6 mg/kgの静注を行い、7日間の休薬期間をおいてこのシリーズを3回繰り返す。すなわち、合計26日間のスケジュールとなる。

2)

2.2 mg/kgの静注を1日1回、10日間続ける。

3)

初めにスラミンを1日目5 mg/kg,2および4日目に10 mg/kg、その後メラルソプロールを5日目1.8 mg/kg、6日目2.16 mg/kg、7および14日目2.52 mg/kg、15日目2.88 mg/kg、16日目3.24 mg/kg、23, 24および25日目に3.6 mg/kg投与する。

[効果]
 アンゴラでガンビア型トリパノソーマ症の計500例を[成人での用法・用量]の1) および2) の2群に無作為割付し、治療終了後24時間での寄生虫学的治癒率をみたところ、両者ともに100%であった (1)
 ケニアで病後期のローデシア型トリパノソーマ症28例の治療を[成人での用法・用量]の3) の方式で行ったところ、再発率は4.1%であった (2)

[副作用]
 5〜10%に脳症が出現し、そのうち10〜50%が死亡するとのデータがある。脳症の場合に副腎皮質ステロイドは有効とされる。多発性ニューロパチーが10%、剥離性皮膚炎が1%にみられる。他に、心筋傷害、高血圧、発熱、頭痛、下痢、斑丘疹、掻痒、腹痛、胸痛などもみられる。
 したがって、種々の重篤な副作用に対しての準備を十分しておく必要がある。

[小児ヘの投与]
 用法・用量の記載もあるが、安全性については不詳。

[妊婦ヘの投与]
 安全性は確立されていない。

【文献】

1.

Burri, C., Nkunku, S., Merolle, A., Smith, T., Blum, J., Brun, R.: Efficacy of new, concise schedule for melarsoprol in treatment of sleeping sickness caused by Trypanosoma brucei gambiense: a randomised trial. Lancet 355:1419-1425, 2000

2.

Harrison, S.M., Harris, R.W., Bales, J.D. Jr.: Attempt to correlate urine arsenic excretion with clinical course during melarsoprol therapy of patients with Rhodesian trypanosomiasis. Am. J. Trop. Med. Hyg. 56:632-636, 1997