リン酸クロロキン Chloroquine phosphate (商品名 Avloclor)


 4-アミノキノリンに属する基本的な抗マラリア薬である。熱帯熱マラリアでは薬剤耐性のために使用価値が殆どなくなったが、他のマラリアでの急性期治療薬としては今でも第一選択薬剤である。ただし、三日熱マラリアで軽度ではあるがクロロキン耐性が出現している。
 予防薬剤としては、クロロキン耐性の問題が少ない地域において単独あるいはプログアニルと併用で用いられることがあるが、ここでは対象としない。


[適応]
三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアにおける急性期治療薬として用いる。

[成人での用法・用量]以下のいずれかの方法を用いる。

1)

クロロキン塩基にして初回600 mg (10 mg/kg)、6時間後、24時間後、48時間後にそれぞれ300 mg (5 mg/kg) で、計1,500 mg (25 mg/kg)を投与。

2)

クロロキン塩基にして1日目600 mg、2日目600 mg、3日目300 mgで計1,500 mg。ただし、同じ時間の服用とする。

[効果]
 熱帯熱マラリア以外の急性期治療薬としては殆どの場合有効性を示すが、三日熱マラリアでは再燃による治療不成功例がパプアニューギニア、スマトラ、イリアンジャヤ、ミャンマー、バヌアツ、インド、ブラジルのアマゾン地域などで生じている (1)。


[副作用]
 一般に耐容性は良好であるが、悪心、不機嫌、視力障害、起立性低血圧の増強、黒人では皮膚掻痒などが起こりうる。稀ではあるが、急性、可逆性の精神神経症状もありうる。


[小児への投与]
 [成人での用法・用量]1) に示した体重当たりの投与量が用いられる。


[妊婦への投与]
 抗マラリア薬のなかでは、妊婦・胎児への安全性が最も確立されている薬剤である。


【文献】

1.

Hatz, C.: Clinical treatment of malaria in returned travelers. In “Travelers’Malaria”(P. Schlagenhauf eds), BC Decker, Hamilton・London, pp431-445, 2001